鎌倉流スペシャルティコーヒーの楽しみ方

カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ

突然だが、名古屋にすごいコーヒー店さんがある。住宅街の中にひっそりと佇む、スペシャルティコーヒーの専門店。顧客のコーヒーカルテを数千件持つ、知る人ぞ知るお店だ。

そこのオーナー夫妻がなぜか鎌倉に詳しい。

小町通りにある洋食屋のビーフシチューセットについてくるバターが「くるん」として可愛い、豊島屋で売っている鳩サブレー以外のお菓子のことを云々。あまりに不思議だったので、なぜそんなに鎌倉通なのか聞いてみたら、鎌倉のど真ん中に彼らが大好きな「すごい」コーヒー屋さんがあって、機会があるごとに訪れているという。

すごいコーヒー店のオーナーが勧める「すごい」コーヒー屋。

それは気になるということで、お店を訪問できるタイミングを長らく狙っていたのだが、いつ見ても外まで行列。土日ともなると普通の行列じゃなくて、超大行列。外から中をうかがってみると、コーヒーを飲んでいる人、ボリュームのあるデザートを食べている人、実にさまざま。簡単に席は空きそうにない。

であるならば、と満を辞して平日の開店直後を狙って訪れた。

スペシャルティコーヒーにこだわったコーヒーのセレクションは、浅煎りから深煎りまで。産地もエチオピア、エルサルバドル、コスタリカ、ブラジルと、中南米がメインに上質なもの揃い。

よく聞くコーヒー農園のものから、とっておきの日に飲みたいゲイシャまで幅が広く揃っていて、どのコーヒーを選ぶか、コーヒーのことが詳しく分からなければすぐにオーダーはできないほど。

でも、せっかく鎌倉に来たのだから、そんな風にコーヒーを選ぶ時間も楽しいはず。

実は今日の私のお目当てはブラジル料理の「ムケッカ」。かつて甘糟りり子さんの著書『鎌倉だから、おいしい。』で読んで以来、ずっと食べてみたかったもの。エスニック的な見た目にもかかわらず、スパイシーじゃないという「カレーらしきもの」に興味津々だったのだ。

お店のメニュに書いてあるムケッカの説明はこう書いてある。

ムケッカ 900円

魚介と野菜をココナッツミルクで煮込み、それをご飯と混ぜながら食べるブラジル、バイーア地方の料理です(辛くないタイカレーような)。やし油のかおりがくせになる美味しさです。香菜が入っていますが、お好みに応じて抜きます(魚介はえび・干しえび・タラが入っています)。

見た目とは180度とは言わないけれど。90度くらい異なるやわらかくて、優しいお味。そしてお野菜などの具もいっぱい。ココナッツミルク、パクチー、干しエビとエスニックカレー三種の神器が入っているのに、辛くないとは初体験。

食後には2杯目のコーヒーを違う銘柄でオーダー。「おかわり価格」が設定されていて、違う銘柄をオーダーしても2杯目は1杯目のほぼ半額という。350円から400円で2杯目が楽しめるなんて。観光地とはにわか信じられないお値段に感激。

マスター自らがドリップしてくれるコーヒーで早めのランチを締めくくり、そのまま散歩を続けるのがおすすめコースかもしれない。

カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ 

鎌倉市小町2-1-5

鎌倉駅から徒歩5分